日本の裁判所の死刑判決の一覧です(歴代)。確定した死刑判決と死刑囚、死刑執行または再審の状況をまとめています。
死刑判決・死刑囚の一覧(裁判)です。戦後の日本。最新まで。判決確定年月、被告の名前、死刑執行状況、事件名、解説など
判決確定月 | 被告の名前など | 内容 |
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9月 | 土屋和也 (つちや・かずや) =拘置中 【事件当時の年齢】26歳 【職業】無職 【主な罪名】強盗殺人 【犠牲者数(死者数)】2人 【犯行の時期】2014年11月、12月 |
前橋強殺事件(群馬県)。
前橋市の住宅で2014年に高齢者2人が殺害され、1人が重傷を負った。
地裁判決によると、土屋和也被告(当時26歳)は2014年11~12月、前橋市日吉町の小島由枝さん(93)、前橋市三俣町の川浦種吉さん(81)の2人をそれぞれの自宅で殺害。川浦さんの妻も包丁で刺して重傷を負わせ、現金や食料品を奪った。 当時の報道(産経新聞)によると、消費者金融に百数十万円の借金を抱え身勝手な動機から凶行に及んだ。だが「カネと食料品が目的」といいながら、無抵抗な高齢者に出くわすと、逃げることも刃物で脅そうともせず即座に襲った。しかも犠牲者の身体には執拗(しつよう)な刺し傷が残されていた。 |
3月 | 植松聖 (うえまつ・さとし) =拘置中 【事件当時の年齢】26歳 【職業】元施設職員 【主な罪名】殺人 【犠牲者数(死者数)】19人 【犯行の時期】2016年7月 |
相模原障害者施設殺傷事件(神奈川県)。
神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で、入所者を殺害した。 横浜地裁の裁判員裁判で死刑判決を言い渡され、自ら控訴を取り下げたことで死刑が確定した。 2016年7月26日未明、やまゆり園に侵入し、刃物で入所者19人を殺害。入所者24人に重軽傷を負わせた。さらに、職員5人を拘束するなどし、うち2人にけがを負わせた。 19人という犠牲者数は刃物による殺人では戦後最悪。「意思疎通のとれない重度障害者は人間ではない」と、無抵抗の入所者を次々と襲撃した。 青沼潔裁判長は、被告には完全な責任能力があったと認定し、「強烈な殺意に貫かれた犯行で悪質性は甚だしい。死刑をもって臨むほかない」と述べた。 公判では事実関係に争いはなく、大麻を乱用していた事件当時の被告に、善悪を判断して行動を制御する責任能力があったかどうかが唯一の争点。弁護側は大麻による精神障害の影響で心神喪失だったとして無罪を求めていた。 青沼裁判長は判決理由で、「重度障害者を殺す」との動機について、断じて是認できる内容ではないとした。施設で勤務した実体験から生じた発想で、その形成過程に病的な飛躍はないと指摘。職員が少ない夜間を狙い、障害の程度の重い入所者を選別しながら襲った点や、直後に警察署に出頭した点も、事前の計画の通りだったと認定した。そのうえで、被告の行動には計画性、一貫性、合理性が認められ、違法性の認識もあったとし、責任能力は完全にあったと結論づけた。 植松被告は判決後、横浜拘置支所で接見取材に応じ、「控訴はしない。弁護人がしたとしても取り下げる」と話した。 |
判決確定月 | 被告の名前など | 内容 |
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7月 | 堀慶末 (ほり・よしとも) =拘置中 【事件当時の年齢】23歳~32歳 【職業】無職・住所不定 【主な罪名】強盗殺人 【犠牲となった死者数】3人(パチンコ店長夫婦殺害事件2人、闇サイト殺人事件1人) |
「碧南市(へきなんし)パチンコ店長夫婦殺害事件」(愛知県県)1998年6月=殺された犠牲者2人
「闇サイト殺人事件」(名古屋市)2007年8月=殺された犠牲者1人。まずこの事件で無期懲役になった。 「名古屋市守山区高齢女性強盗殺人未遂事件」(名古屋市)2006年7月 <堀慶末が関与した事件の経過> 1998年6月:愛知県碧南市で馬氷一男さん夫婦が殺害され、現金を奪われる事件が発生 2006年7月:名古屋市守山区で70代女性が首を絞められ現金を奪われる 2007年8月:名古屋市千種区の路上で会社員・磯谷利恵さんを拉致し殺害。その後、強盗殺人容疑などで逮捕、起訴(闇サイト事件) 2009年3月:闇サイト事件で名古屋地裁が死刑判決 2011年4月:名古屋高裁が無期懲役に減刑。その後、検察側が上告 2012年7月:最高裁で無期懲役確定 2012年8月:愛知県碧南市の夫婦の自宅から見つかった唾液のDNA型から事件に関与した疑いが浮上。強盗殺人容疑などで逮捕、起訴 2013年1月:名古屋市守山区の女性への強盗殺人未遂容疑で再逮捕、その後起訴 2015年12月:名古屋地裁が夫婦への強盗殺人罪を認め、死刑判決 |
7月 | 保見光成 (ほみ・こうせい) |
拘置中。裁判員裁判。山口連続殺人放火事件 |
5月 | 山田浩二 (やまだ・こうじ) |
拘置中。裁判員裁判。寝屋川市中1男女殺害事件 |
2月 | 西口宗宏 (にしぐち・むねひろ) |
拘置中。裁判員裁判。堺市連続強盗殺人事件。 |
2018年 12月 |
渡辺剛 (わたなべ・つよし) |
拘置中。裁判員裁判。資産家夫婦強殺事件 |
2018年 9月 |
林振華 (りん・しんか) |
拘置中。裁判員裁判。愛知県蟹江町母子3人殺傷事件 |
2017年 12月 |
鈴木勝明 (すずき・かつあき) |
拘置中。裁判員裁判。大阪府和泉市元社長夫婦殺害事件 |
2017年 7月 |
上田美由紀 (うえだ・みゆき) |
拘置中。裁判員裁判。鳥取連続不審死事件 |
2017年 4月 |
木嶋佳苗 (きじま・かなえ) |
拘置中。裁判員裁判。首都圏連続不審死事件 |
2016年 7月 |
筒井郷太 (つつい・ごうた) |
拘置中。裁判員裁判。長崎ストーカー殺人事件 |
2016年 6月 |
千葉祐太郎 | 拘置中。裁判員裁判。石巻3人殺傷事件 |
2016年 6月 |
浅山克己 (あさやま・かつみ) |
拘置中。裁判員裁判。東京連続放火殺人事件 |
2016年 4月 |
伊藤和史 (いとう・かずし) |
拘置中。裁判員裁判。長野一家3人強殺事件 |
2016年 3月 |
高橋明彦 (たかはし・あきひこ) |
拘置中。裁判員裁判。会津美里夫婦強殺事件 |
2016年 2月 |
高見素直 (たかみ・すなお) |
拘置中。裁判員裁判。大阪此花区パチンコ店放火殺人事件 |
2015年 12月 |
新井竜太 (あらい・りゅうた) |
拘置中。裁判員裁判。埼玉深谷男女2人殺害事件 |
2015年 5月 |
藤城康孝 (ふじしろ・やすたか) |
拘置中。加古川7人殺害事件 |
2015年 2月 |
加藤智大 (かとう・ともひろ) |
拘置中。秋葉原無差別殺傷事件 |
2014年 12月 |
桑田一也 (くわた・かずや) |
拘置中。裁判員裁判。静岡2女性殺害事件 |
2014年 10月 |
奥本章寛 (おくもと・あきひろ) |
拘置中。裁判員裁判。宮崎家族3人殺害事件 |
2014年 9月 |
松原智浩 (まつばら・ともひろ) |
拘置中。裁判員裁判。長野一家3人強殺事件 |
2014年 6月 |
小泉毅 (こいずみ・たけし) |
拘置中。元厚生次官宅連続襲撃事件 |
2014年 3月 |
矢野治 (やの・おさむ) |
2020年1月26日自殺。裁判員裁判。前橋スナック乱射事件 |
2014年 3月 |
小川和弘 (おがわ・かずひろ) |
拘置中。大阪個室ビデオ店放火事件 |
2013年 12月 |
沖倉和雄 (おきくら・かずお) |
2014年1月26日病死。あきる野市資産家姉弟強盗殺人事件 |
2013年 11月 |
高柳和也 (たかやなぎ・かずや) |
拘置中。姫路2女性バラバラ殺人事件 |
2013年 6月 |
山田健一郎 (やまだ・けんいちろう) |
拘置中。前橋スナック乱射事件 |
2013年 3月 |
住田紘一 (すみだ・こういち) |
2017年7月13日執行。裁判員裁判。岡山元同僚女性バラバラ殺人事件 |
2013年 2月 |
伊藤玲雄 (いとう・れお) |
拘置中。架空請求詐欺グループ仲間割れ事件 |
2013年 1月 |
渡辺純一 (わたなべ・じゅんいち) |
拘置中。架空請求詐欺グループ仲間割れ事件 |
2013年 1月 |
清水大志 (しみず・たいし) |
拘置中。架空請求詐欺グループ仲間割れ事件 |
2012年 12月 |
野崎浩 (のざき・ひろし) |
拘置中。フィリピン女性2人殺人事件 |
2012年 11月 |
阿佐吉広 (あさ・よしひろ) |
2002年2月11日病死。都留市従業員連続殺人事件 |
2012年 10月 |
髙見澤勤 (たかみざわ・つとむ) |
2014年8月29日執行。暴力団組長による3人射殺事件 |
2012年 10月 |
謝依俤 (シェ・イーディ) |
拘置中。品川製麺所夫婦強殺事件 |
2012年 9月 |
田尻賢一 (たじり・けんいち) |
2016年11月11日執行。裁判員裁判。宇土院長夫人強盗殺人事件 |
2012年 7月 |
加賀山領治 (かがやま・りょうじ) |
2013年12月12日執行。中国人留学生強殺事件(DDハウス事件) |
2012年 7月 |
川﨑政則 (かわさき・まさのり) |
2014年6月26日執行。香川・坂出3人殺害事件 |
2012年 3月 |
岩森稔 (いわもり・みのる) |
拘置中。本庄夫婦強盗殺人事件 |
2012年 2月 |
福田孝行 (ふくだ・たかゆき) |
拘置中。光市母子殺害事件 |
2012年 1月 |
若林一行 (わかばやし・かずゆき) |
2015年12月18日執行。岩手母子殺害事件 |
2011年 12月 |
濱崎勝次 (はまさき・かつじ) |
2013年4月26日執行。市原市ファミレス内組員2人射殺事件 |
2011年 12月 |
松永太 (まつなが・ふとし) |
拘置中。北九州監禁殺人事件 |
2011年 12月 |
兼岩幸男 (かねいわ・ゆきお) |
拘置中。交際2女性バラバラ殺人事件 |
2011年 11月 |
守田克実 (もりた・かつみ) |
拘置中。マブチモーター殺人事件 |
2011年 11月 |
遠藤誠一 (えんどう・せいいち) |
2018年7月6日執行。オウム真理教事件 |
2011年 11月 |
中川智正 (なかがわ・ともまさ) |
2018年7月6日執行。オウム真理教事件 |
2011年 10月 |
魏巍 (ウェイ・ウェイ) |
2019年12月26日執行。福岡一家4人殺害事件 |
2011年 10月 |
北村孝 (きたむら・たかし) |
拘置中。大牟田市4人連続殺害事件 |
2011年 10月 |
北村実雄 (きたむら・じつお) |
拘置中。大牟田市4人連続殺害事件 |
2011年 10月 |
井上孝紘 (いのうえ・たかひろ) |
拘置中。大牟田市4人連続殺害事件 |
2011年 10月 |
北村真美 (きたむら・まみ) |
拘置中。大牟田市4人連続殺害事件 |
2011年 7月 |
津田寿美年 (つだ・すみとし) |
2015年12月18日執行。川崎アパート3人殺害事件 |
2011年 6月 |
池田容之 (いけだ・ひろゆき) |
拘置中。横浜沖バラバラ強殺事件 |
2011年 6月 |
大山清隆 (おおやま・きよたか) |
拘置中。広島連続保険金殺人事件 |
2011年 4月 |
渕上幸春 (ふちがみ・ゆきはる) |
拘置中。宮崎の口封じ連続殺人事件 |
2011年 4月 |
大倉修 (おおくら・おさむ) |
拘置中。同僚・妻連続殺人事件 |
2011年 3月 |
小林竜司 (こばやし・りゅうじ) |
拘置中。東大阪大生リンチ殺人事件 |
2011年 3月 |
片岡清 (たかおか・きよし) |
2016年2月14日病死。広島・岡山独居老人強盗殺人事件 |
覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)罪などに問われ、一審の裁判員裁判で全面無罪となった後に二審で逆転有罪とされ、二審の在り方が争点になった元会社役員、安西喜久夫被告(61)の上告審判決が2012年2月13日、最高裁第1小法廷で言い渡された。金築誠志裁判長は、事実誤認を理由に一審判決を見直す際は、論理的な整合性や一般常識に当たる「論理則、経験則」に照らし、不合理な点があることを具体的に示さなければならないとの初判断を示し、二審判決を破棄、無罪とした。再逆転での無罪が確定する。
裁判官5人の全員一致による結論。裁判員裁判で審理された事件の無罪が最高裁で確定するのは初めて。裁判員裁判かどうかを問わず、事実誤認をめぐる一審と二審との関係を初めて明確に位置付けた。
被告は2009年11月に成田空港で覚せい剤約1キロ入りの缶をバッグ内に隠し持ったとして起訴された。一審は「薬物を認識していたとはいえない」と認定したが、二審は事実誤認を指摘。懲役10年、罰金600万円とした。裁判員裁判で一審全面無罪、二審逆転有罪の全国初の事例だった。(参考: 弁護士山口寛氏)
裁判員制度では、弁護人と検察官が、それぞれ4人まで裁判員から外すこと(忌避)ができ、忌避理由は明かされない。それだけに「“公平な裁判”を建前に、警察や死刑制度に関する個人の思想信条が問いただされ、スクリーニング(選別)に使われる」との声もある。
裁判員制度の特徴の一つに、裁判員の選ばれ方がある。国会議員や法曹関係者、警察官、自衛隊員、事件関係者などは除外される。病気やけがを抱えた人、70歳以上の高齢者なども辞退できるという。
裁判員の候補者は、裁判長の面接を受けるそうです。放火や殺人など「死刑の適用が問題となる事件」では、裁判長が「今回の事件で有罪とされた場合、法律で定まっている刑を前提に量刑を判断できるか」と質問。「はい」と答えない場合は「証拠でどのような事実が明らかになったとしても、絶対に死刑を選択しないと決めているか」と問われる可能性がある、といいます。 (参考:弁護士渕側友晴氏)