■2003年3月15日 連続セミナー第4回
これからの裁判制度・その課題と展望
〜東京:弁護士会館5Fー〜
講師:日本裁判官ネットワークコーディネーター 浅見宣義さん
あひる一会代表・市民の裁判員制度つくろう会代表世話人 片山徒有さん
青山学院大学法学部教授・市民の裁判員制度つくろう会事務局長 新倉 修さん
千葉大学助教授の黒沢香さんによる開会の挨拶の後、つくろう会代表世話人の片山さんか
ら、1.市民の社会参加の方法について、2.市民の社会参加の一つの態様と考えられる裁判
員制度によって、社会が変貌するのではないか、そして3.裁判員制度によって期待される社
会変化が、司法、行政、立法に及ぶのではないかという見通しが示された。
次いで、つくろう会事務局長で青山学院大学教授の新倉修さんから、先ず、導入される裁判
員制度を、「市民のための刑事裁判」、「真実」と「正義」という大きな目的にふさわしい刑事裁
判、そして「司法の国民的基盤」の拡充という3つを実現するための制度にしようとの呼びかけ
がなされた。さらに、11日の「裁判員制度・刑事」検討会で出されたたたき台の問題点を指摘
しながら、対案を準備するために、1.裁判員が主役、2.市民に優しい裁判所、3.捜査の透
明化・人道化・科学化、4.カルチャーとしての法教育、5.全ては予断排除原則の徹底から、
6.裁判員抜きの訴訟指揮ではなく、裁判員と協議して訴訟運営、7.報道の規制ではなく規
正をという7つのポイントが提案された。
日本裁判官ネットワークのコーディネータで判事の浅見宣義さんからは、@裁判員制度の刑
事裁判への影響、A裁判官への影響、B裁判所への影響、C国民(市民)に対する影響とい
う観点からの展望があった。
刑事裁判では、手続き改革にまで進むか否かで、その影響は大きく変わると予想されること
が指摘された。また、手続きまで一度に変わらなくても公判中心にならざるを得ず、調書裁判を
する事は実質的にできないだろうし、手続き面は継続的に変わっていくのではないかとの予測
もなされた。ただ、裁判員制度は、年配の裁判官ほど自分のやってきたことに対する自負もあ
るから受け入れにくいようだが、若い世代になるほど受け入れざるを得ないという感じであり、
積極的に刑事裁判以外にも拡大されるという見通しは全く立たないようだった。
また、非法律家の裁判員に分かるような評議という事になると、今までは当然のこととして議
論されなかったものが、原理原則に戻って議論することが必要になるので、従来より時間がか
かることになるかも知れないが、議論の深みは増すという利点が生じ、ひいては第1審の重み
が従来以上に増すだろうと予想された。
更に、裁判員制度になれば、裁判員が知った裁判所の様子を身近な人に話していくことによ
って、裁判所自体が市民に身近になっていくだろうし、裁判官も付き合う人の輪が広がるので、
違う世界を知る機会も増えるというメリットもある。また、市民が死刑と直面する場面も生じるこ
とから、死刑制度に対する社会の考え方にも変化が出てくる可能性があるなど、多方面にわた
って展望された。
その後、質疑応答のような形で全体討論に入ったが、参加者から活発な意見や質問が相次
いだ上、次回の討論会の開催はいつかという声まで聞かれ、盛会であった。最後に、つくろう会
事務局で弁護士の濱田広道さんが、11日の検討会の裁判員制度たたき台に対する意見表明
を読み上げ、つくろう会のホームページに掲載する事が了承された。