■2003年2月15日 連続セミナー第3回
あなたが「裁判員」になったら〜市民本位の制度にするには何が必要か〜 
〜東京:弁護士会館5Fー

                              

    講師:関西学院大学法学部教授 丸田 隆さん
        弁護士 高井康行さん
        新潟陪審友の会・事務局 高見 優さん
        市民の裁判員制度つくろう会・事務局 沢田美佐子・敷田みほ     

 つくろう会の新倉事務局長の開会の挨拶、司会役の諏訪部弁護士による講師紹介の後、
最初に関西学院大学の丸田教授によるスピーチを頂いた。教授は、19世紀のフランスの歴
史家アレックス・トクヴィルの、『アメリカの民主政治』から「民事陪審こそ民主主義の実践であ
る。」「陪審制度こそ民主主義の学校である。」を引用すると共に、我々は単に選挙の時に1票
を投じる事で民主主義を実践してきたと勘違いしてきたのではないかと指摘された。また、確か
にこれまでお上に任せてきたということによって、効率の良い経済成長を遂げてきたという事実
はあるが、現在は市民が統治機構に直接参加して市民が民主主義の担い手になるべきときで
はないか。即ち、我々はこれから、国民主権の担い手として公的関心を持ち、自己責任のもと
で社会に参画する「市民」としての自覚に目覚める必要があり、裁判員制度はそのような社会
変革を助長する制度として位置付けられると主張された。また、この裁判員制度を実効あるも
のにするためには、先ず現状の刑事裁判が、「一握りの法律家たちによる、検察の取調べと調
書を中心とした、要領を得ない、争点のはっきりしない、精密司法や実態的真実発見のためと
いう、やたら詳細に被告人(やその家族)のプライバシーに立ち入る、被告人には理解困難な専
門用語と業界用語が飛び交う、調書で述べられた事実関係を結局は認定する、有罪率99.9%の
職業裁判官制度。」であるということを認識し、これを変えなければならないという自覚が必要だ
と主張された。
 また、この制度のために整えられるべき法的インフラや、利用し易くするという観点からのイン
フラなど、8枚のレジュメに添って、早口ではあったが分かり易く話された。
 丸田教授の次に話された、検討会委員で元検察官の高井弁護士は、裁判の本質は真実の発
見にあるという観点から、現在の裁判もそれなりに評価することが出来るという考えを述べられた。
このような立場から、裁判員制度の評議体として裁判官を1人とする事には疑問を示され、少な
くとも2人は必要ではないかと主張された。
 この後、つくろう会事務局の澤田さん及び敷田さんから、自分が裁判員に選ばれた場合を想
定して、市民として整えてもらいたい具体的な事項について話された。
 最後に、新潟陪審友の会事務局の高見優さんから、現状の裁判制度に単に裁判員制度だけ
を導入しても駄目で、現在の犯罪捜査と公判審理のやり方を改め、「人質司法」と「調書裁判」を
止めなければならないことを、分かり易く説明して頂いた。
 これには、高井弁護士も特に発言を求め、裁判員制度は裁判制度の頭の部分であり、それだ
けを議論していても駄目だと思う、自分も証拠の問題や捜査の問題も含めて裁判制度全体を議
論する必要があると思うと同意された。
 これらの、パネリストの一通りの話を聞いた後、休憩をはさみ、参加者を交えた全体討論に移
った。会場からも活発に参加していただき、極めて有意義なセミナーであった。
 最後に、事務局の滝田が裁判員制度が民主主義実践の教育的要素も有する重要な制度に
なりうることを再確認し、閉会した。






市民の裁判員制度つくろう会事務局
事務局長 新倉修(青山学院大学教授)
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