裁判員って一体何なのでしょう?
料理研究家の小林カツ代さんが、疑問点を木村弁護士にぶつけ、また、「裁判員制度・刑事検討会」委員の四宮弁護士にも解説をいただくという対談コーナーです。


裁判員って何?コーナー

 


      
木村:
   「裁判員制度」というのが今日のテーマで、市民集会で、こういう「裁判員制度」について
   考えるというのがテーマになったのは、多分今日が初めてなんじゃないかという気がする
   わけですね。そういう歴史的な場面に立ち会っておられるわけですが、ちょっとここで、会
   場の皆さんに御質問をしてみたいと思います。
   「裁判員制度」というのは大体どんなものか、大体解ってるぞという方は手を挙げていただ
   きたいと思います。はい、余りよく解らないぞという方は?
   半々ぐらいに分かれましたんで、これからが問題でございます。
   さて、それがいかなるものであるか、今日のゲストに小林カツ代さんをお招きしております。
   御存じですね、料理の小林カツ代さんですよ。憲法問題から裁判問題まで、キッチンから
   考えられるんでしょうか。キッチンから考えた「裁判員制度」について、小林さんに来ていた
   だいてお話を聞いてみたいと思います。
小林:
   こんにちは、話が違うよ。
木村:
   どうしてなの。
小林:
   私が聞くんですよ。
木村:
   そうそうあなたが聞く。
小林:
   話していただきましょうよなんて。
木村:
   そんな詳しいとは思ってない、僕。
小林:
   そう、全然詳しくない。
木村:
   今の宮澤さんのお話を聞いてみると、今の裁判官というのは、同じ司法試験というのがあ
   りまして、司法試験というのに通るわけです。大体5、6年ぐらいですかね平均が。
   何とか頑張って受かる、そうすると1年半ぐらい研修所というところに行きまして。
   その研修所でもう1回試験を受ける、卒業するのに。そうすると、大体90何パーセントかは
   司法試験受かってるんです。そのときに、裁判官になる人と検察官になる人と弁護士にな
   る人とに分かれるんです。裁判官になる人は学生のときから司法試験に向かって勉強やっ
   てきて、司法研修所で1年半勉強して、それで裁判官になっちゃうんです。
小林:
   すごいよね、世間のこと何にも知らないでしょう。
木村:
   うん、世間のこと何にも知らないで裁判官になっちゃう。そうすると、世の中とのいろいろな
   考え方がズレてるなと思う裁判てありません?
小林:
   あるある。それで、よく選挙のときにこの裁判官いらないと思う人が。だけど,その人がなん
   の裁判したかというのは、選挙公報ちゃんと読んでないと解らないでしょう。
木村:
   選挙公報読んだって解らないでしょう。
小林:
   だけど、裁判でこんな軽い罪ないわ、というのがあるじゃないですか。こんなだったら絶対に
   終身刑だと思うのがあるじゃないですか。でも、そういうことは晋介さん、裁判のときはよく分
   かったの、今、裁判員のことを聞きたいわけですよ。裁判員というのはそもそも何か。
木村:
   今言ったのは、裁判官というのは純粋培養で、いきなり最初から裁判官になった、キャリアの
   裁判官というんですけど、世間を知らない裁判官ばっかりで。
小林:
   学校の先生と同じね。
木村:
   そう。
小林:
   学校の先生なんて、いきなり先生と言われるでしょう。
木村:
   そうですよ。その点、料理研究家なんていうのはいろんなことやってるよね。
小林:
   ものすごい大変ですよ。家庭料理なんて何でも知ってなきゃいけない。でも、今日はいいわね。
   裁判員だから。
木村:
   裁判員というのは、常識を知らない裁判官、世の中のことを知らない裁判官ばかりになっちゃう
   と、国を相手に裁判を起こす。ヨーロッパとかそういうところで、国を相手に裁判を起こすと、何1
   0パーセントかは勝つんだそうですよ。ところが、日本というのは1パーセントも勝てない。だか
   ら、要するに裁判所は国の頭になっちゃってるんです、市民の頭じゃなくて。だから、裁判所の
   中に常識の風を入れよう、そのためには素人の人から裁判官を選んですればいいじゃないか、
   で、裁判官が座ってますよね、そうすると、そのほかに裁判員というのが座って。
小林:
   そうすると、陪審員とまた違うのね。
木村:
   陪審員と違う。陪審員というのは裁判官が傍聴席にいて、陪審員は陪審員だけで議論をして、
   有罪ですか?無罪ですか?というと、有罪ですとか無罪ですとか。それが裁判官を拘束するわ
   けで、陪審員だけで決めちゃう。ところが、裁判員というのはそうじゃなくて、裁判官の中に混ざ
   って裁判官と一緒に審理に加わって、判決書くときにも1票を持ってると。
小林:
   誰でもなれるの。
木村:
   そうそう、だから誰でもなれるんだろうけど。
小林:
   料理研究家でもなれる。
木村:
   料理研究家は大丈夫。弁護士はなれるのかな、キンピカ先生はなれるんですかね、あそこに
   キンピカ先生がいらっしゃってますけどなれるんですかね。聞いてみたいですね。専門家がい
   るんです。四宮啓弁護士に登場してもらいましょう。
(拍手)
木村:
   要するに、だから素人が行くというところまで解ったけど、誰でも行けるのか、料理研究家は
   行けるのか、専門家でなきゃいけないのかと、そういうようなところですね。その辺どうですか。
四宮:
   もう、料理研究家は大歓迎です。
小林:
   料理研究家もいろいろおりますよ。
四宮:
   今、決まってる制度は、有権者であれば誰でも裁判員になる資格がある。選び方は、選挙
   人の名簿から無作為にアトランダムに選びましょう、ということになってますから、誰でもなれ
   ます。ただね、その選んで、何人か分かりませんが、選んだ人はすぐ、その場で裁判に参加
   するかどうかは分からないんですね。もうこの人は有罪だと考えが固まってる人が裁判やって
   も意味がないですね。そういう人たちが予断や偏見を持っているとか、あるいは、事件の当事
   者と親戚だとか、友達だとかいうことじゃ困りますよね。そういった公正な判断をするのにちょっ
   と疑問がありそうだという人は、やっぱり排除していく仕組みがこれから必要だと思いますけど。
小林:
   1人ですか。
木村:
   人数がどのくらいになるかね。
四宮:
   それはこれから決めるんです。
木村:
   宮澤さんの話でも、人数の問題が大事だというふうにおっしゃってたんで、特に裁判官の数が
   1人の場合と3人の場合とありますよね。割合簡単な事件は1人で裁判やりますよね。重大な
   事件になると、3人でやりますよね。裁判員というのは、今言ったどっちの方とかかわってくるわ
   けですか。
四宮:
   今、これから作られようとしてる制度は、刑事事件の重大な犯罪というふうに言われてますの
   で、今は、3人の裁判官で裁判してる事件に恐らくなるでしょう。
木村:
   いわゆる合議体の事件ですね。
四宮:
   はい、裁判官3人で携わってやってる事件、また、その事件と同じだけの範囲にするかどうか
   はまだ決まってませんけど、ほぼそのくらいの重い事件に関わっているんですね。
小林:
   赤い服着て行ってもいいんですかね。
四宮:
   Tシャツと短パンはどうか分かりませんが。
小林:
   でも、それを今、国の方でも、小泉さんなんかもやろうという方にあれしてらっしゃると聞きまし
   たけれども、こういう大事なことを何名にするかとか、どういう人たちを選んでいくかどうかという
   のは,誰が決めるんですか。
四宮:
   今、政府の司法制度改革推進本部というところに検討会というのがあります。さっきも紹介が
   ありましたけど、そこで「裁判員制度・刑事検討会」というところがありまして、そこで主に議論
   しています。
小林:
   こそこそやってるんですか。
四宮:
   そんなことはないですけれども、いろいろ公開しておりますが、そこだけの意見だけで決めると
   いうよりは、国民の皆さんからの意見を寄せていただこうということで、今いろいろな意見募集
   なんかもしておりますので。国民の皆さんが主役の制度ですから、国民の皆さんからいろいろ
   な意見を寄せていただくということは大事だと思うんですね。
木村:
   今日ここに来た人はすごく大事な責任があるわけですね、「裁判員制度」について。今日の話
   を聞いて、どんどん国の方へ意見を出していくということをやってもらいたいと思いますね。
小林:
   だって、下手したらまた国が勝手に都合のいいように決められちゃう可能性があるわけでしょう。
木村:
   どの辺が心配?「裁判員制度」ができたら。
小林:
   どの辺がって言うよりはね、どの辺ていうと、やっぱり、今裁判官の人たちの制度を見てたら、
   制度っていうか、さっきおっしゃったように、社会を何も知らない人たちがなるじゃないですか。
   時折、本当に恩情のある厳しい素敵な人もいますよ。けれども、そうじゃない。でも、ただ数を
   増やせばいいだけじゃない、市民から選ぶときに、どんな人が選ばれるかっていうのはすごく
   心配。それから、仕事を持ってたらそれを休んで行く訳ですよね、ボランティアですかね。
木村:
   どうなんですか、それ。給料は?日当とか。
四宮:
   日当と旅費は出しましょうというふうになって、日当の額まで決まってませんし、それが全員の
   満足いくものになるかどうか解りませんけれども、もちろん、忙しい市民の方に来ていただく以
   上は、そういった日当や旅費をお支払すると。それから、仕事がみなさんありますから、なるべ
   く迷惑の掛からないような工夫、例えば、裁判も、もし1日で終わらなければ毎日やる。今はひ
   と月に1回とかいうペースが多いんですけれども、また3週間先に来てくださいと言えませんか
   ら、多くの事件は1日で終わると思ってますけれども、1日で終わらなくても、毎日やってもらっ
   て、集中的にやってもらう。
小林:
   オウムの事件みたいに,私生きてる間に終わるのかしら。
木村:
   もう6年経ってますか。ああいうのを裁判員では入ることになる訳ですよね。そうすると、かなり
   集中して、例えば2週間でワァッとやっちゃうとか、そういうふうになるんですか。
四宮:
   そうですね。ですから、まず一つは、速くやる必要がありますね。そのためには事前に十分な
   準備をしなきゃいけません。きちんと準備をして、そして、そこで裁判員の皆さんに来ていただ
   いて、裁判を始めるというふうにしなきゃいけない。事前の準備も必要ですし、裁判が始まって
   からも今までのようにプロだけで分かる裁判ではなくて、本当に一般の方に理解していただく。
   つまり、目で見て、耳で聞いて解る裁判に変えていかなければならないというふうに思います。
小林:
   もう一つ心配なことは、やっぱり重大な事件に裁判員が参加できるというのはすごくいいことだ
   と思うんですけれども、何人かでないと、それがやっぱり非常に社会的なことで、みんなが思っ
   てた思惑と違う判決が出る場合ってあるわけじゃないですか。そしたら、その人たちの身を守る
   というような、守らなければならないというようなことも、私、当然出てくると思うんです。
   もう一つは、例えば子供が殺されたというような犯罪があったときには、その親、子供を持って
   いる、そういうことが分かる心情も、余りにもそこに深入りしちゃいけませんけれども、何かキチ
   ンとそういうことでいろんな人を選ばなければ、みんながみんな子供を持って感情的になるとい
   けないけれども、選ぶということもものすごい大事な、また裁判官と同じような何も知らない人ば
   かりがなる可能性もあるし、1人,2人ではちょっと。発言ももっと言いたいけれども,余りという
   ような、遠慮することもあると思います。
木村:
   結局専門の裁判官がいて、そこに素人でヒョコッと来させられてもなかなか。その点はどうです
   か。
四宮:
   さっき裁判の安全という問題がありましたね。それはやっぱりほとんどの事件では心配ないと
   思いますが、もしそういう可能性がある事件の場合は、やはり裁判員の方のプライバシーとか
   安全を図る仕組みも併せて考える必要があると思います。それから、正に今議論されているの
   でいろんな議論があるところですけれども、おっしゃるとおり、これは複雑な知識を持った人が
   裁判官と一緒にやりましたというよりは、普通の人たち、社会のいろんな人たちに来ていただ
   いて、そこでみんなが共通で持っている、審議会の意見書では「健全な社会常識」と言ってま
   すけれども、みんなが誰でも納得できるようなことを求めていくということが確かに必要だと思い
   ます。
小林:
   裁判員に選ばれた何人かって、また勉強会というか、とっても必要でしょうね。
木村:
   選ばれた人に対して、ちゃんとレクチャーして、裁判制度とか殺人罪とかなら、こういう場合に
   有罪になるんですよと、ある程度法律の解釈とか、いろんな考え方、こういう考え方があれば
   こういう考え方もありますよということを、ちょっとレクチャーしてもらわないと。
四宮:
   そういう意味で、今度、今まではプロだけでやっている裁判でしたから、専門用語は飛び交う
   し、傍聴席で一般の人は解らないということでした。でも、今度は一般の方が判断するわけで
   すから、裁判そのものが変わるし法律家の役割も大きく変わると思うんですね。今までは、プ
   ロの知識と経験で決めていくというのが役割でしたけれども、今度は主権者である国民の皆
   さんが決めるということで、それをサポートしていくことが必要です。
   知識と経験を、法律はこうなんですよと、例えば判例はこうなんですよと、こういうことが専門
   的に言われているんですよということを、解りやすく伝えるという役割に変わらなければいけ
   ない。
木村:
   法廷は解りやすくなりますね。
四宮:
   そうしないといけませんね。
木村:
   例えば弁護人と検察官、有罪か無罪かやるわけですね。そのときに、できるだけ裁判員の
   素人の人に分かるような話をしたほうが勝ちやすい訳だ。
四宮:
   というか、分かるように話をしない限り、自分の主張は受け入れられることは絶対にあり得な
   いと思いますね。
小林:
   それはやっぱりやってみたら、ものすごく変わるでしょうね。というのは、関心を持つようにな
   るじゃないですか、自分と同じような立場の市民がこの裁判に関わっていくとなると注目度が
   すごくなる。
木村:
   ちょっと聞いてみましょう。
   今、大体この「裁判員制度」というのはどういうものかというのが解ってきたと思うんですけれ
   ども、それならば私はやってみたいという方は手を挙げてください。
(会場挙手)
木村:
   ちょっと勘弁してほしいと思う人はどのくらいいますか。
(会場挙手)
木村:
   そういう方もいらっしゃいますね。これは、キンピカ先生勘弁してほしい。
小林:
   でも、少ないですね。
木村:
   少なかったけれども、多分結構給料の高い方じゃないですか。今、キンピカ先生けっこう稼
   いでますからね。だから、そのときに日当が1日5000円とか。
小林:
   関係ないでしょう。
木村:
   そこで、だから、そんなのに2週間も3週間も付き合わされたらかなわないという。それで
   特に普通の会社に勤めている人は休みが取れるのかどうかという、これ有給休暇になる
   んですか。
四宮:
   そこら辺も議論しないといけないんですけれども、一般の人に来ていただきやすい環境づ
   くりをしないといけないと思うんですね。それで、僕はさっき全然変わらなきゃいけないとい
   った考えに賛成なんですけど、今まで専門の人に我々はずっと任せっきりにしていたんで
   すね。それで今のような社会になってしまったと。今の裁判はいいか悪いか議論が分かれ
   ますけれども、もうちょっと皆さん、ちょっとプライベートから外に出た、社会のことに関心を
   持ってくださいということだと思うんですよ。これはだから、私はこの制度は一番いいことは
   始めてしまうことです。始めてしまうと大きく変わっていく。そのことによってずっと意識が
   広がっていく。そうすると、社会は1人で生きていくんじゃないと、社会の他の人と一緒に
   暮らしているんだという意識が広がっていく。そういう意味で、決して難しいことじゃなくて
   、プロはそういう人たちを助けるサポートするという、役割が変わっていくということによって
   協力関係ができるんじゃないかと。
木村:
   裁判官も検察官も弁護士も、みんな腰が低くなるね。
四宮:
   法廷の主役が変わると。
木村:
   そういうことで、小林さんから、さすがに素人の立場から質問していただいたので、さっき
   宮澤節生・早稲田大学教授がお話しになった後、「裁判員制度」について解った方は半分
   くらいしか手が挙がりませんでしたが、どうしても難しくなる。まあ小林カツ代さんに上がっ
   ていただいて、いろいろ素人の方から質問していただいた。それでその結果「裁判員制度」
   について、かなり俺は解ったぞというふうに、私は解ったぞと思われる方、手を挙げてくださ
   い。
(会場挙手)
木村:
   まだ分からないという人は。
(会場挙手)
木村:
   大分減りましたね。やっぱり小林さんの力は偉大です。
小林:
   いやいや、今日のこれが全部終わったら全員の方が解られますよ。そのためにこの先が
   あるんですよ。
木村:
   素人が参加するということの意味というのは解りやすくなるということですね。
小林:
   そうですよ。正にそう。
四宮:
   そういうことで、皆さん一緒に考えていただければいいと思います。
木村:
   6月11日に、政府の「裁判員制度」の検討会が開かれたんですよ。それと全く同じに再現
   してもらいましょう。

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